
新生児が夜寝ないのはなぜですか?
こども家庭庁の情報サイト「健やか親子21」に掲載されている「1か月児健康診査マニュアル」の説明では、新生児が夜寝ないのは体内時計がまだうまく働かず、昼と夜に合わせた眠りと目覚めのリズムが整っていないためです。生まれたばかりの赤ちゃんはレム睡眠(浅い眠り)が多いため、すぐに起きてしまいます。レム睡眠とノンレム睡眠の周期は40〜50分ほどです。
厚生労働科学研究の研究班がまとめた「未就学児の睡眠指針」(2018年)では、新生児期の赤ちゃんは昼も夜も短いサイクルで、1〜2時間起きては1〜4時間眠ることをくり返します。昼夜のリズムはまだみられず、日中と夜の睡眠時間はほぼ同じです。睡眠の約半分はレム睡眠が占めます。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」にも、生まれたばかりの赤ちゃんは数時間おきに寝たり起きたりをくり返すとあります。アイルランド保健サービス庁(HSE)は、新生児は昼と夜の違いがわからず、眠りがおなかのすき具合に左右されやすいと説明しています。
1か月児健康診査マニュアルには、産科に入院中は眠りがちだった赤ちゃんが、退院後は一転してよく泣くようになるとも書かれています。よく泣くようになるのは生後2週ごろからで、2か月ごろにピークを迎え、午後から夕方にかけてよく泣くのが特徴です。
生後3か月ごろまでの変化を資料別にまとめると、次のとおりです。
| 時期 | 眠りと目覚めのようす | 出典 |
|---|---|---|
| 生まれてすぐ | 体内時計がうまく働かず、眠りと目覚めのリズムは整っていない | 1か月児健康診査マニュアル |
| 新生児期 | 1〜2時間起きて1〜4時間眠るをくり返し、昼と夜の睡眠時間はほぼ同じ | 未就学児の睡眠指針 |
| 生後数週間から | 夜に眠る時間が少しずつ延び、昼間起きている時間が長くなる | 睡眠ガイド2023 |
| 生後7週前後 | 眠りと目覚めのリズムができ始める | 1か月児健康診査マニュアル |
| 生後8〜11週 | 8割の赤ちゃんがリズムを獲得する | 1か月児健康診査マニュアル |
| 生後8〜12週ごろ | 正期産の赤ちゃんで、メラトニンの分泌に1日のリズムが出始める | 2024年の総説 |
| 生後3か月ごろ | 昼間に起きていることが多くなり、昼夜の区別がついてくる | 1か月児健康診査マニュアル、横浜市旭福祉保健センター |
新生児の昼夜逆転はいつまで続きますか?
新生児の昼夜逆転は、昼と夜の区別がつき始める生後3か月ごろが一つの目安です。1か月児健康診査マニュアルでは、眠りと目覚めのリズムは生後7週前後に作られ始め、生後8〜11週で8割の赤ちゃんがリズムを身につけます。生後3か月ぐらいからは昼間に起きていることが多くなり、昼夜の区別がついてきます。1か月の時点では、まだ睡眠のリズムが整っていないことが多いとも書かれています。
米国小児科学会(AAP)によると、新生児はときに昼と夜を取り違えることがあり、昼に眠って夜に遊ぼうとするような状態もいずれ過ぎていきます。昼夜のパターンが落ち着くまでに数か月かかることが多い、というのがHSEの説明です。横浜市旭福祉保健センターの赤ちゃん教室資料では、2か月ごろから体内時計が動き始め、3か月ごろから昼夜の区別がついていくと書かれています。
2024年に『European Journal of Pediatrics』に掲載された、光と赤ちゃんの概日リズムに関する総説によると、正期産の赤ちゃんでメラトニンの分泌に1日のリズムが出始めるのは生後8〜12週ごろです。目覚めにかかわるコルチゾールのリズムは、早ければ生後8週ごろにできてきます。
昼夜逆転を直すにはどうしたらいいですか?
昼夜逆転を直す手がかりは光と音で、1か月児健康診査マニュアルは、眠りと目覚めのリズムを身につけるには「光」と「音」が大切だとしています。朝の光を浴びることと、夜の授乳では部屋を明るくせず間接照明を使うことを勧め、日中の炊事や洗濯などの生活音も必要だと書いています。米国小児科学会は、すぐに効く方法はないとしたうえで、家で過ごし始めた最初の数週間から、昼と夜の違いがはっきりわかる雰囲気を作るよう勧めています。
昼の過ごし方
- 睡眠ガイド2023は、朝になったらカーテンを開けて部屋を明るくするよう勧めています。
- お昼寝中も部屋を暗くせず、昼と夜の区別をつける。横浜市旭福祉保健センターの資料にある工夫です。
- 米国小児科学会によれば、日中に明かりや音楽のついた部屋など、家の中のにぎやかな場所で寝てしまっても気にしなくてかまいません。昼寝でも、寝かせる場所は下に挙げた赤ちゃん専用の寝床にします。
- 2024年の総説が取り上げた研究では、日中に光を浴びることが、夜の効率のよい眠りと昼間の目覚めにつながっていました。対象は新生児ではなく生後3〜5か月の赤ちゃん43人で、家庭で調べたものです。
夜の過ごし方
- 眠りと目覚めのリズムが整うのを助けるため、夜は部屋を暗くするのが睡眠ガイド2023のすすめです。
- 米国小児科学会は、夜の関わりを授乳、げっぷ、おむつ替え、必要なときのやさしいあやしだけにし、暗い部屋で小さな声で行うよう勧めています。
こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトは、1歳になるまでは寝かせるときはあおむけにし、硬めで平らな寝具を使った赤ちゃん専用の寝床に寝かせるよう勧めています。
昼間ずっと寝ていて夜寝ない新生児は、昼に起こしたほうがいいですか?
アイルランド保健サービス庁(HSE)は、日中に赤ちゃんを起こしておいても夜よく眠るようにはならないと説明しています。疲れすぎると、寝つくのがずっと難しくなるといいます。
こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトにあるとおり、生まれたばかりの赤ちゃんは一日の多くを眠って過ごします。未就学児の睡眠指針は、新生児期の睡眠時間を1日16〜20時間としています。
HSEが言っているのは夜よく眠らせるために昼起こしておくことで、授乳のために起こすかどうかとは別の話です。1か月児健康診査マニュアルが望ましいとする退院後の体重増加は、1日25g以上です。体重の増え方が気になるときは、保健師や助産師が自宅を訪れる新生児訪問や乳児家庭全戸訪問(こんにちは赤ちゃん訪問)で相談できます。母子健康手帳情報支援サイトの案内では、こうした訪問で発育の確認とあわせて育児相談を受けられます。
新生児が夜寝ないとき、親はどう休めばいいですか?
1か月児健康診査マニュアルが勧めているのは、赤ちゃんが寝ているときに保護者も一緒に休み、家事や育児を周りの人にお願いすることです。1か月の時点では、赤ちゃんの睡眠のリズムがまだ整っていないことが多いためです。
睡眠ガイド2023は、授乳と夜泣きへの対応で養育者の睡眠も細切れになると書いています。養育者にとって睡眠の確保は心身の健康を守るために重要だ、というのがガイドの立場です。女性の10〜20%が産後うつを経験するという報告も、同じガイドで紹介されています。著しい睡眠不足の人や夜中に目が覚めることが多い人では、そのリスクが高くなります。
泣きやまずにイライラするときについて、こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトは気分を変える方法を挙げています。深呼吸をする、安全な所に赤ちゃんを寝かせてその場からいったん離れる、誰かと話す、といったものです。
小児科に相談したほうがよいのはどんなときですか?
飲みや元気、顔色、呼吸などに具合の悪い様子がみられたら、すみやかに医師の診察を受けるよう、こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトは勧めています。
- 母乳や育児用ミルクをいつもより飲まない、発熱があって元気がない、下痢やけいれんがある、顔色が悪い、呼吸の様子がおかしい、強い黄疸がある。いずれも、母子健康手帳情報支援サイトがすみやかな受診を勧めている様子です。
- 黄疸があり、とても眠そうにしている。アイルランド保健サービス庁(HSE)は、医師か保健師への相談を勧めています。黄疸が強いときは、母子健康手帳情報支援サイトがすみやかな受診の目安に挙げています。
- 夜間や休日に、受診すべきか迷う。全国共通の短縮番号「#8000」の子ども医療電話相談では小児科医や看護師に相談できると、1か月児健康診査マニュアルは案内しています。対応時間は都道府県によって異なります。
- 休もうとしても眠れない、つらい状態が続く。1か月児健診の問診には「あなたご自身の睡眠で困っていることはありますか」という質問があります。1か月児健康診査マニュアルは健診の担当者に向けて、こども家庭センターへの支援の依頼や精神科への紹介が必要になる場合を示しています。休息をとるようにしても改善しないときと、十分に休息がとれずつらい状態が続くときです。
アプリでは:パターンが見える、赤ちゃんの睡眠記録
公的な情報
- こども家庭科学研究費補助金 永光信一郎研究班(令和6年度、健やか親子21) — 1か月児健康診査マニュアル
- 厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班(健やか親子21) — 未就学児の睡眠指針(2018年)
- 厚生労働省 — 健康づくりのための睡眠ガイド2023
- こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト — 新生児(生後約4週間までの赤ちゃん)
- 横浜市旭福祉保健センター こども家庭支援課 — 赤ちゃんの生活リズム(旭区赤ちゃん教室資料)
- American Academy of Pediatrics (HealthyChildren.org) — Reversing Day-Night Reversal
- HSE (Health Service Executive, Ireland) — Newborn's sleep needs at 0 to 3 months
- European Journal of Pediatrics — The role of light exposure in infant circadian rhythm establishment: A scoping review perspective
執筆:MyBaby編集部. 情報源の選び方と確認のしかた(英語).
MyBabyは医療機器ではなく、医学的な助言、診断、治療を行うものではありません。赤ちゃんの健康について気になることがあるときは、必ずかかりつけの小児科医や助産師に相談してください。



