睡眠退行とは?生後4か月ごろに夜よく起きる理由といつまで続くか
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睡眠退行とは何ですか?
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の育児支援機関Karitaneの説明では、睡眠退行とは、それまでよく眠っていた赤ちゃんが急に夜中に何度も起きたり昼寝がうまくできなくなったりする時期のことです。多いのは生後4か月ごろですが、生後3〜5か月のどこで始まってもおかしくありません。
英国ダラム大学の乳児睡眠研究センターが運営する情報サイトBASISは、「睡眠退行」という言葉には生物学的な根拠がないと説明しています。夜にまた起きるようになるのは、赤ちゃんが育ち、学んでいく過程の一部だという考え方です。
2022年に『Maternal and Child Health Journal』に掲載された93件の研究の総説によると、赤ちゃんの睡眠の構造は生後12週までに急速に変わります。生後2か月を過ぎると動睡眠がレム睡眠に、静睡眠がノンレム睡眠になり、生後6か月までにはすべての眠りがノンレム睡眠から始まるようになります。
厚生労働科学研究の研究班がまとめた「未就学児の睡眠指針」(2018年)にも、新生児の眠りは動睡眠(のちのレム睡眠に相当)から始まり、生後6週〜3か月ごろからはノンレム睡眠から始まるようになると書かれています。月齢ごとの変化を資料別にまとめると、次のとおりです。
| 月齢 | 眠りの変化 | 出典 |
|---|---|---|
| 新生児期 | 眠りは動睡眠から始まり、昼夜のリズムはまだみられない | 未就学児の睡眠指針 |
| 生後2か月以降 | 動睡眠がレム睡眠に、静睡眠がノンレム睡眠になる | 2022年の総説 |
| 生後6週〜3か月ごろ | 眠りがノンレム睡眠から始まるようになる | 未就学児の睡眠指針 |
| 生後2〜4か月ごろ | 体内時計(概日リズム)ができ始める | BASIS |
| 生後3か月ごろ | 1日14〜15時間眠り、3〜4時間続けて眠る | 未就学児の睡眠指針 |
| 生後3〜5か月 | 睡眠退行が始まりうる時期 | Karitane |
| 生後6か月ごろ | 6〜8時間続けて眠るようになり、昼夜の区別がはっきりしてくる | 未就学児の睡眠指針 |
| 生後6か月まで | すべての眠りがノンレム睡眠から始まるようになる | 2022年の総説 |
| 1歳以降 | 体内時計が整うのは早くても12か月、多くはそれより後 | BASIS |
睡眠退行は本当に「退行」なのですか?
BASISの説明では、「睡眠退行」と呼ばれる変化の多くは発達にともなう正常なものです。早い時期から長く眠っていた赤ちゃんでも、あとでまた起きるようになることがあります。Karitaneも、「退行」という言葉は否定的に聞こえるものの、赤ちゃんの睡眠の周期と脳の成長にとっては前向きで大切な発達の段階だと書いています。この時期の背景として挙げているのは、脳の活動の高まり、睡眠の周期の変化、体の成長、周りへの関心の高まりです。
生後3〜4か月で夜に長く眠るようになるかどうかは、資料によって書き方が違います。国立成育医療研究センターが公開している厚生労働科学研究班の「改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル」(2021年)には、米国の「Bright Futures」ガイドラインをもとにした、3〜4か月児健診での保護者への助言例が載っています。そこでは、赤ちゃんは睡眠のパターンを作っている途中で、夜には4〜5時間続けて眠れるようになると説明されています。
BASISによると、生後3〜4か月ごろから長く続けて眠るようになると聞くことはあっても、研究でそうなるのは3人に1人ほどです。多くの赤ちゃんは、昼も夜も眠りの周期の合間に目を覚まします。2022年の総説のまとめでは、ときどき朝まで続けて眠れても、その後の夜中の目覚めは防げていませんでした。
睡眠退行のサインは?
Karitaneが挙げる睡眠退行のサインは、次のとおりです。
- 夜中に起きる回数が増え、また寝つきにくくなる
- 昼寝が短く、予測しにくくなる
- 機嫌が悪く、なだめにくくなる
- 夜に授乳を欲しがるなど、飲み方が変わる
- 寝つくのに、これまでより手助けが要るようになる
Karitaneは、寝ついたときと目が覚めたときで環境が違うと、夜中に目を覚ましてまた寝つきにくくなることがあるとも書いています。体が急に大きくなる時期にはおなかがすいて起きることも増え、それが睡眠退行と取り違えられやすいといいます。
睡眠退行はいつまで続きますか?
Karitaneによると、多くの赤ちゃんは数週間のうちに睡眠退行の時期を抜けますが、その時期には個人差があります。一方で、眠りの発達そのものはもっと長く続くとBASISは説明しています。赤ちゃんの睡眠のパターンは生まれてから数年かけて成熟し、体内時計が整うのは早くても12か月、多くはそれより後です。
未就学児の睡眠指針では、生後6か月ごろには6〜8時間続けて眠るようになり、9か月ごろには睡眠の7〜8割を夜にとるようになります。1日の睡眠時間も、月齢とともに少しずつ短くなっていきます。
生後3か月や5か月でも睡眠退行は起こりますか?
Karitaneによれば、睡眠退行は生後4か月ごろに多いものの、生後3か月や5か月に始まることもあります。未就学児の睡眠指針では、昼夜のリズムがみられない新生児期を過ぎた生後3か月ごろには、3〜4時間続けて眠るようになります。眠りがノンレム睡眠から始まるようになるのも、このころです。
2022年の総説が引用する研究では、生後5〜8か月にはいはいをしていた赤ちゃんは、まだはいはいをしていない赤ちゃんより眠りが乱れていました。こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイトにある「育児のしおり」には、6か月ごろから夜泣きをする子が増えると書かれています。おなかがすいている様子があれば、夜中でも母乳やミルクをあげてかまわないともあります。
睡眠退行の時期にできることは?
国立成育医療研究センターが公開している身体診察マニュアルが、Bright Futuresをもとにした3〜4か月児健診の助言例として挙げるのは、お昼寝と夜寝る時間をできるだけ毎日同じにすることです。3〜4か月児健診の同じ助言例は、赤ちゃんはたくさん泣くもので、泣くことが赤ちゃんの害になることはないとも伝えています。授乳やおむつ、安全を確かめても泣きやまずいらいらしてきたら、安全な場所に赤ちゃんを置き、自分もその場を離れて少し休憩するよう勧めています。
夜中に起きたときにどこまで手をかけるかは、資料によって書き方が異なります。同じマニュアルの6〜7か月児健診の助言例は、うとうとしかけたときに布団に入れて、自分で眠るようにするというものです。夜に起きてしまっても特に構わず、自分で眠りなおすことを覚えてもらいます。「育児のしおり」はこれと違い、夜泣きのときには話しかけたり、抱いたり、ときには遊んであげたりすることも必要だとしています。
こども家庭庁は、1歳になるまではあおむけに寝かせ、大人と同じ部屋で赤ちゃん専用の寝床を使い、寝床のまわりには何も置かないよう勧めています。
小児科や健診で相談したほうがよいのはどんなときですか?
赤ちゃんの眠りで困っていることがあれば、乳幼児健診やかかりつけの小児科に相談してください。母子健康手帳の「保護者の記録【3〜4か月頃】」には、「お子さんの睡眠で困っていることはありますか」という質問があります。
- 睡眠中にいびきをかく、引っかかるような呼吸をする。未就学児の睡眠指針は、これらを子どもの睡眠の病気でみられる症状の例に挙げています。気になる症状があれば、まずかかりつけ医に相談するよう勧めています。
- 保護者自身が眠れずにつらい。母子健康手帳の同じ欄には「保護者ご自身の睡眠で困っていることはありますか」という質問もあります。「育児のしおり」によると、こども家庭センターや保健所、市町村保健センターなどでは電話相談も受け付けています。
アプリでは:パターンが見える、赤ちゃんの睡眠記録
公的な情報
- こども家庭庁 — 赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~
- こども家庭庁 — 母子健康手帳(省令様式 様式第三号、令和5年4月)
- こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト — 育児のしおり
- 厚生労働科学研究 岡明班(国立成育医療研究センター掲載) — 改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル(2021年)
- 厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班(健やか親子21) — 未就学児の睡眠指針(2018年)
- Durham Infancy and Sleep Centre (BASIS) — Infant Sleep Biology
- Maternal and Child Health Journal — The Architecture of Early Childhood Sleep Over the First Two Years
- Karitane — The 4-Month Sleep Regression: Causes and Coping Strategies
執筆:MyBaby編集部. 情報源の選び方と確認のしかた(英語).
MyBabyは医療機器ではなく、医学的な助言、診断、治療を行うものではありません。赤ちゃんの健康について気になることがあるときは、必ずかかりつけの小児科医や助産師に相談してください。



