
夜間授乳はいつまで続けるもの?
厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年)には、夜間授乳をいつまでに終えるという目安はありません。授乳全体についても、子どもが母乳や育児用ミルクを必要としなくなる時期には個人差があり、終える時期を決めることは難しいとしています。そのため支援する側には、いつまで続けるかについて、授乳している人の考えを尊重して支援するよう求めています。
同じガイドでは、生まれて間もない赤ちゃんは昼夜の区別なく授乳と睡眠を中心に過ごし、成長するにつれてその子なりの授乳と睡眠のリズムが整ってきます。離乳食が始まってからも、母乳や育児用ミルクは続きます。離乳の完了(生後12〜18か月ごろ)は母乳やミルクを飲んでいない状態を意味するものではない、とガイドにははっきり書かれています。
世界保健機関(WHO)は、出産施設での支援として、子どもが欲しがるたびに昼も夜も授乳できるよう支えることを挙げています。母乳育児は、2歳またはそれ以上まで続けることを勧めています。
| 時期 | 公的な資料に書かれていること | 出典 |
|---|---|---|
| 生まれてすぐ | 昼夜の区別なく、授乳と睡眠を中心に過ごす | 授乳・離乳の支援ガイド |
| 生後6〜8週以降 | 授乳の間隔や回数、量が安定してくるといわれる(個人差あり) | 授乳・離乳の支援ガイド |
| 生後8〜11週 | 8割の赤ちゃんが睡眠と目覚めのリズムを身につける | 1か月児健康診査マニュアル |
| 生後3か月ごろ | 昼間に起きていることが多くなり、昼夜の区別がついてくる | 1か月児健康診査マニュアル |
| 生後9〜11か月ごろ | 離乳食は1日3回。母乳は欲しがるまま、ミルクは食後のほかに1日2回程度 | 授乳・離乳の支援ガイド |
| 生後12〜18か月ごろ | 離乳の完了。母乳やミルクをやめた状態を指すものではない | 授乳・離乳の支援ガイド |
こども家庭庁の「健やか親子21」サイトに掲載されている「1か月児健康診査マニュアル」(こども家庭科学研究費補助金による研究班が作成)によると、生まれたばかりの赤ちゃんが夜まとまって眠らないのは体内時計がまだうまく働かず、浅い眠りであるレム睡眠が多いためです。新生児の睡眠リズムが整う助けとして同じマニュアルが勧めているのは、朝の光を浴びることと、夜の授乳では部屋を明るくせず間接照明を使うことです。
新生児が寝ていたら、夜間授乳のために起こすべき?
授乳・離乳の支援ガイドには、寝ている赤ちゃんを何か月まで起こして授乳するかの記載はなく、判断の目安になるのは体重の増え方です。ガイドは、子どもの発育をみるうえで体重を重要な指標の一つにしています。乳幼児身体発育曲線でそれまでの経過をたどりながら、授乳の回数や量、おしっこやうんちの回数、機嫌もあわせて見るよう示しています。
新潟県糸魚川市の母乳の相談ページによると、よく寝てあまり欲しがらない赤ちゃんもいます。授乳の間隔があきすぎるときは起こして授乳する、というのがこのページのすすめです。
一方、京都市の京(みやこ)あんしんこども館は、生後3か月の赤ちゃんについての相談に、「3時間おきに8回」はおおまかな目安で厳密に守る必要はないと答えています。気持ちよく寝ている子はおなかがすいていないので、3時間たったからと起こして授乳する必要はない、という回答です。飲めている量の目安には、1〜2週間に1回体重を測り、適正に増えているかを見ることを挙げています。
体重の目安について、「1か月児健康診査マニュアル」は、新生児は生後2〜3週までに出生体重に戻り、退院後の体重増加は1日25g以上が望ましいとしています。1か月児健診では退院時からの1日あたりの増え方で評価し、20〜50g/日が標準、25g/日未満ならその後も経過をみる必要があるとされます。在胎36週ごろに生まれた赤ちゃんは授乳のタイミングがわかりにくいことがあり、眠りがちなら、そっと刺激して起こしてから授乳するよう書かれています。
体重の増えが少ないと言われている場合や早く生まれた場合は、起こして授乳するかどうか、いつまで起こすかを、かかりつけの小児科医や助産師に相談してください。
夜間断乳はいつから始めていい?
夜の授乳だけをやめる夜間断乳を始めてよい月齢も、授乳・離乳の支援ガイドには示されていません。ガイドが支援する側に求めているのは、授乳を続けるか終えるかを授乳している人が子どもと自分の状態から判断できるよう、情報を伝えることです。
授乳そのものを終える卒乳について、福井市の資料は、親子が「もうやめてもいいかな」と思える時期でよいとしています。やめどきを考える材料として子どもの側で挙げているのは、1日3回しっかり食べる、ストローやコップで水分がとれる、おっぱいなしで寝つける日が出てきた、体調がよい、一人で歩ける、などです。授乳している側の事情としては、仕事への復帰や妊娠、夜間授乳による睡眠不足、乳腺炎などの乳房トラブルを繰り返すこと、歯が生えて噛まれて痛いことが挙がっています。
西東京市の卒乳の案内によると、1歳を迎えて食事から栄養をとれるようになると、授乳は子どもの気持ちを満たす役割に変わっていきます。仕事に戻るときに、卒乳を終えていなければいけないわけでもありません。
夜間断乳はどうやって進める?
西東京市の卒乳の案内は、夜の授乳をやめる段階では、授乳している人以外の家族に寝かしつけを代わってもらうよう勧めています。2〜3日は泣くことがあっても、1週間くらい続けると落ち着くことが多いといいます。西東京市と福井市の案内は、どちらも授乳をすべてやめる卒乳・断乳についてのものです。福井市の資料は、体調がよい時期を選ぶことと家族の手を借りることを挙げ、次のような工夫を具体的に示しています。
- 時期を選ぶ:授乳している人の体調がよく、乳房トラブルがない時期にする。体調を崩しやすい真冬、真夏、梅雨どきは避け、寝かしつけなどを家族に手伝ってもらえる3〜4日間を選ぶ。
- 前もって伝える:日を決めてやめる場合は、10日〜2週間前から毎日子どもに伝える。
- 少しずつ減らす:段階的に進める場合は授乳を1回ずつ減らし、乳房トラブルがなければ1週間くらいでまた1回減らす。
- 寝かしつけを変える:おっぱいで寝かしつけていた場合は、背中をトントンする、家族に寝かしつけを代わってもらう。日中はしっかり相手をして遊び、おなかがすかないようにおにぎりやパンを用意しておく。
- 乳房をいたわる:張っているときは楽になる程度に搾乳し、入浴は乳房を温めすぎないよう半身浴やシャワーにする。
日本小児歯科学会も、1歳半を過ぎて母乳を飲みながら寝てしまう子について、昼間によく遊ばせると疲れて母乳に頼らずに眠れるようになるかもしれないと書いています。西東京市の案内では、卒乳は昼間の授乳からやめていくと比較的スムーズに進むことが多く、昼に欲しがらなくなってから夜に進みます。やめたあとに元気がない、発熱や下痢が続くなど体調を崩したときは、期間をおいて次の機会を待つよう勧めています。
夜間授乳を続けると虫歯になりやすい?
日本小児歯科学会は、夜中の頻繁な授乳はむし歯につながることがあるとして注意を呼びかけています。母乳と粉ミルクで糖の量に大きな差はなく、むし歯のできやすさも変わりません。母乳か粉ミルクかよりも、授乳の時間や姿勢のほうが大事だということです。
同学会の説明では、1歳を過ぎると砂糖をとり始めるため、むし歯の原因菌が歯に付きやすくなります。母乳を飲みながら眠って母乳が口の中に長く残ると、むし歯のリスクが高まります。寝るときに哺乳びんでミルクを飲みながら眠ってしまうことも、リスクを高めます。
授乳を続けている間の対策として、同学会は甘い飲食物を控えること、歯みがきをしっかりすること、フッ化物を利用することを挙げています。1歳6か月ごろには、卒乳も含めて哺乳びんも卒業したいという考えです。乳幼児期から小児歯科専門医やかかりつけの歯科医を定期的に受診することも勧めています。
どんなときに小児科や助産師に相談する?
次のようなときは、かかりつけの小児科に相談してください。乳房の張りや痛みは助産師や母乳外来、歯のことは歯科医院が相談先になります。
- 健診で体重の増えが少ないと言われた、または増え方が心配なとき(1か月児健康診査マニュアルは、1日25g未満の増加を、その後も経過をみる必要がある目安にしています)
- 眠ってばかりでうまく飲めない、飲む力が弱いと感じるとき(同じマニュアルは、赤ちゃん自身の要因で飲めないことが疑われる場合は、原因を早く調べるよう医師に求めています)
- 夜間断乳の途中で、元気がない、発熱や下痢が続くなど体調を崩したとき(西東京市は、こうしたときはいったん期間をおいて次の機会を待つよう勧めています)
- 乳房の張りや痛みがおさまらないとき(福井市は、母乳外来や助産院で相談しながら進めるよう勧めています)
- 歯に白い線があり、歯ブラシでみがいても取れないとき(日本小児歯科学会は、むし歯のなりかけである「白斑(はくはん)」の可能性を挙げています)
アプリでは:パターンが見える、赤ちゃんの睡眠記録
公的な情報
- 厚生労働省(こども家庭庁掲載) — 授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月)
- こども家庭庁 健やか親子21 — 1か月児健康診査マニュアル(令和6年度 こども家庭科学研究費補助金 研究班)
- 京都市子ども保健医療相談・事故防止センター(京(みやこ)あんしんこども館) — 3時間おきの授乳のタイミングにスヤスヤ寝ている時はどうしたらいいですか
- 新潟県糸魚川市 いといがわ子育てナビ — 母乳子育てアドバイス
- 福井市 — 卒乳について(子育てに関するよくある相談)
- 西東京市 — 卒乳について
- 日本小児歯科学会 — こどもたちの口と歯の質問箱:産まれてから2歳頃まで
- World Health Organization — Infant and young child feeding
執筆:MyBaby編集部. 情報源の選び方と確認のしかた(英語).
MyBabyは医療機器ではなく、医学的な助言、診断、治療を行うものではありません。赤ちゃんの健康について気になることがあるときは、必ずかかりつけの小児科医や助産師に相談してください。



